「帰り路をなくして」
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 ☆「帰り路をなくして」  Lyric & Music Chihiro Onitsuka
              Arranger Masayuki Sakamoto
              C/W: I Pass By 〜Darksmoke Version〜

発売:2009/7/22



 鬼束ちひろさんの16枚目のシングルです。復帰1作目の「X」から一転,鬼束さんらしいバラード曲です。個人的には,こういうテイストの曲の方が好きです。本人はどうだか分かりませんが…。というのは,「この曲は「レコーディングの都合」として,公式サイト以外での主だったプロモーション活動は行わなかった。」という情報をネット上で見たからです。ここからは推測ですが,2作目も「X」テイストの曲をやりたい本人と,売れ筋のバラードで2作目をいきたいレコード会社側の間でギリギリの攻防があったのではと…,と思うのです。そして,決別(発売中止)したときの伏線として「公式サイト以外での主だったプロモーション活動は行わなかった。」のではなかったかと…。まぁ,下衆の勘ぐりですが…。

 楽曲は,ピアノ,ストリングス,およびバンドサウンドで構成されるバラードです。鬼束バラードの定番である,ピアノとストリングスを基調としたサウンドは健在です。そこに,バンドサウンドで曲に厚みを付けるという構成になっています。曲調は,夏に発売された曲ですが,秋の夜長に熱いコーヒーでも飲みながらじっくり聴く「秋の夜長ソング」。鬼束さんの秋の夜長ソングは,ほんとうに良い味を出しています。

 話しはズレますが,CDのジャケット写真について…。CDを手にして気になったのがこのジャケット写真です。鬼束さんのシングルのジャケット写真としては珍しいタイプです。水中で白いドレスを着てこちらを向いて立っている写真…。個人的には,「茨の海」のPVを思い浮かべました。(シングルでは「私とワルツを」のジャケットが一番近いかな?でも,かなり雰囲気が違います…。)



〈歌詞について〉

 この曲の歌詞は,「仕事に,人生に疲れた男たちの応援歌」(本人の公式コメント)として,「光と闇」(この曲の発売日は皆既日食が観測できた日です)をテーマに制作されました。
 この曲のテーマである「光と闇」は,サビの2種類の歌詞に込められていると思います。


 

    帰り路をなくして 明日はどこに向かうのだろう
    いつの時か 握りしめてきた 手のひらも解かずに
    血の涙は零れる 緋の狭間で立ち上がるのだろう
    過ぎ去る背はもう見えない
    ただ その先へ その先へ



 

    帰り路をなくして
    そして今はここに
    碧の淵 黄金の果て 夜の隣で震える

    帰り路をなくして 今日はどこに帰るのだろう
    この月が 何を翳すのかを 知る事さえ怖くて
    血の涙は溢れる 緋の翼で舞い上がるのだろう
    燃える世の底を這って
    ただ 泣き叫ぶ 泣き叫ぶ



それを中心にサビ以外の歌詞を読み解くといいと思いました。そうすることにより,鬼束さん自身コメントしている「仕事に,人生に疲れた男たちの応援歌」が見えてくると感じました。
 ただ,歌詞の中で「光と闇」があちらこちらでクロスオーバーしているので,読めば読むほど混乱してくるのですが,基本的には上記の解釈で良いと思います。




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