「待ち時間」
詩

空には灰色の雲がぶらさがっている
1時05分…
バスが来るまで3分
ふと,さっき会った少女のことを思い出す
僕の方へ向けた冷たい視線
「君,僕が何か悪いことしたかい?」
と,問いかけてみたくなったが,やめた
ただの通りすがりの少女に
そんなことを聞く必要ないもの

次の瞬間には
その少女のことなど忘れ
前の通りを走っている車を見る
ひっきりなしに走る車のように
とどめのない想いが僕の横を通りすぎていく

1時10分…
バスは2分も遅れて,まだ来ない
空はますます黒っぽくなってきた
雨が降りだすかも
横には高校生の男女二人
楽しそうに,おしゃべりtime
ますます憂鬱になってきた
「悪いけど,君達,他に行ってくれないかな」
と言いたいけど,言えるわけないよな

1時17分
バスは9分遅れでやって来た
僕はバスに乗りこむ
もちろん座れるわけではない
ふと,バス停の方を見る
何かが落ちているような気がした

1984.6.30(Sat.)


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